その瞳は誰を見てるの?
第2章 その瞳は誰を見てるの? 2
~S side~
先に出てきた智くんと俺は、タクシーに乗り込んでいた。
「智くん?どうしたの?俺、マネージャーに何も…」
「大丈夫。言っといたから。」
「あ…そうなの?で、どこに行くの?」
「おいらんち。」
「へっ!?」
今日の智くんは、俺にすら掴めない。
「しょおくん、嫌なの?」
「ううん、そうじゃないけど急だったから…何か相談事?」
「んーみたいなもんかなぁーーー」
やっぱり掴めない。
部屋の中に通される。
智くんの香りがする。
なんとなく気分が落ち着いてきたような気がする。
リビングのソファーに座ると、智くんがキッチンから訊いてきた。
「何か飲むでしょ?」
「ん…そうだな、今日はノンアルコールがいいかな…?」
「はいよ~じゃ、軽めにしとくか~」
はい?智くん?
聞いてた?
「あのさ…智くん?ノンアル…」
「わかった!しょおくんは少しだけね!」
「あ…はい……」
まぁいいか。
そう言えばなんだろ、話って。