その瞳は誰を見てるの?
第10章 その瞳は誰を見てるの? 10
~S side~
潤との仕事は、やりやすい。
公私混同してはならないが、一緒にいられるのはありがたいし、阿吽の呼吸で仕事もできる……
今は少し、鳩尾の辺りがぎゅっとなってしまうが。
あっという間に終えてしまった取材。
俺の心の棘を潤が1本ずつ取り去ってくれているようだった。
だがその代わりに、別の棘が刺さっていく。
知らぬ間に、アイツの存在は俺の中でこんなにも大きくなっていたんだな……
愛おしい…大切な存在。
失いたくない…無くせない存在。
ふたりとも……な。
打ち合わせまで、大分時間がある。
楽屋で少し仕事をしてから行くかな。
「お疲れ、潤。」
「お疲れ様、翔さん。やっぱり楽しかった!撮影も最高!
いいショットがあったら欲しいな……」
「部屋に飾る?」
「ううん、それもいいけど……持ち歩くの。いつも一緒って……」
「潤……おまえ……かわいすぎ………」
じゃれながらまた潤の頭をガシガシ撫でる。
潤が俺を癒してくれる。
気持ちのイイ時間が過ぎていく。