その瞳は誰を見てるの?
第10章 その瞳は誰を見てるの? 10
「ふふっ……松潤……そうきたか……」
「智くん…何がおかしいの…?」
「随分見せつけてくれたなぁって。松潤の作戦なんじゃないの?あれ……」
「凄い焦った……」
「でも撮影は楽しかったんでしょ?」
「ん…それはまぁ……」
「松潤、楽しそうだったもんなぁ…だけど無理してるようにも見えた。」
「ん…胸が苦しくなった。俺のせいだもんな……」
「ほら、またそんな顔する。ダメだよ?松潤の前でそんな顔しちゃ。
そろそろ打ち合わせじゃないの?」
「あ…そうだね……じゃ俺、行くね。
いつも悪い……智くん……」
こんな状況にも関わらず、松潤や俺のことを気遣ってくれる。
あなたの優しさと明るさに、益々胸がシクシクしてくる。
「おいらはは大丈夫っ…昨日、あんなに愛してもらえたんだもん……幸せだよ……」
ソファーに座る俺に近寄り、背後から抱きしめてくれる。
胸の辺りで組まれた手に、自分の手を重ねる。
「智……っ」
「こらっ、早く行け。」
その言葉と一緒に抱きしめられたまま、左側から頬にキスをくれた。
「うん……じゃ、また……
智くん……ありがとう………」
ごめん。
あなたの思いやりに、図々しくも甘えてしまった。
本来であれば、罵倒されてもおかしくないのに。
シクシクとする胸を抱え、打ち合わせに向かう。