その瞳は誰を見てるの?
第12章 その瞳は誰を見てるの? 12
~S side~
今日は珍しく半オフ。
もう体調は問題ないが、部屋でゆっくり過ごしてから出掛けることにする。
1人で過ごすのは淋しく、物足りない感じがする。
こんな風に静かに物事を考える時間もなかった。
俺には今、愛おしい人がふたりいるのが、紛れもない事実。
本当はあってはならないこと。
わかっている。
わかっていながらにして、俺はソレを続けてしまっている。
智くんはそれを承知で、俺を求めてくれる。
潤は気付いていないふりをしつつ、愛してくれる。
ふたりとも、こんな俺を許している。
おかしくないのか?
潤に、智くんに、別の愛おしい人がいるとしたら……俺は耐えられないだろう。
辛くて苦しくて、きっと俺は壊れる。
なぜ、あのふたりは平気なのか?
いや…平気なはずがない。
大丈夫…と、智くんは俺に言って潤を思いやるけれど、
「しょおくんの全部をちょーだい…」
って、あの時に言っていたのが本音。
潤は独占欲が強い。
俺にすごくアピールしてくるのがわかる。
智くんの存在に気付いていないふりをして、潤も俺に全てをくれる。
じゃ、俺は……?
俺の気持ちは……?
同じなんだ。
俺の全部で潤を愛している。
俺の全部で智を愛している。
どうにもならない、この気持ち、この想いだけは変わらない。
どっち?
それとも離れる?
そんなこと、どうしても考えられないんだ。
これは罪なのだろうか…………?