その瞳は誰を見てるの?
第13章 その瞳は誰を見てるの? 13
~S side~
アナタに触れる間もなく、弾けてしまったね。
ん……背中に長めの爪が食い込む。
首筋にも噛みつかれたよう。
ソレと共にぎゅっと締まったアナタの中に、俺は持っていかれ欲望を全て放った。
正確にはあなたが用意したコンドームの中に。
俺の肩に凭れている智くん。
まだ荒い息で上下に揺れている。
楽屋での情事。
ありえない。
いや、でもこれは現実な訳で……意識を飛ばした智くんがココに……って、そうのんびりはしていられないのでは……?
「智くん?智くん!?智ーーーっ!!目を覚まして!!」
「ぅん…………あ…………しょお…く…ん……」
まだ覚醒していない。
「智くん!ほら起きて!みんなが来る前に、コレ、どうにかしなきゃ!」
と、ゴム装着中のアナタを指差した。
さすがに目が覚めたようだ。
「しょおくんっっ!?おいら寝ちゃったの!?」
「あーちょっとだけね。とにかくコレ外すよ?」
そう言って、まず智のゴムを外して中身が溢れぬように縛った。
俺は…まずは智くんの中から出なくては……そして同様にゴムを外した。
ウェットティッシュできれいにして、使用済みゴムはティッシュで丁寧に包んでゴミ箱へ。
下着は履いた。
あとは衣裳を着てしまえばいい。
ふぅ…………
何とかなりそうだ。
って、刺激的な出来事だったが、後味はあまり良くない……溜め息。