その瞳は誰を見てるの?
第13章 その瞳は誰を見てるの? 13
ドアの鍵を開ける…と、ほぼ同時に3人の声が近づいてきた。
慌ててソファーに座り、新聞を広げる。
智くんも、何事もなかったように携帯をいじっている。
「あっ、早~い。さすがおじさんチーム!」
「お兄さんだっ!」
「おはよ…大野さん…翔さん……」
「ん、おはよぉ。」
「おはよ…潤……」
ニコッと笑った潤の瞳は、笑っていなかった。
「あ…潤…昨日はありがとう。おかげですっかり良くなった。朝のスープも美味かった。
本当に助かった……ありがとう。」
俺の言葉を聞くと、優しく瞳が変わる。
さっきの瞳は、意味ありげな感じだったな。
「あぁ~よかったぁ!すごく心配だったんだよ?もう大丈夫かなぁ~とは思ったけどね。
翔さん、具合が悪い時は無理しないでね?」
左の口角を上げたいつもの笑顔。
ちらっと大野さんの方を見たような気が。
気のせいか?
5人揃った歌の収録。
緊張感はあるけれど、5人がひとつになれる、この瞬間が俺は好きだ。
気持ちがいい出来。
無事終了。
「お疲れ~っ!あ~久々楽しかった!ちょっとコケそうになったの、超焦ったけど大丈夫だったでしょ?」
「後ろにいた私にはバッチリわかりましたよぉ?相葉さん…コケる……おぉ、大丈夫だった~みたいな~ふふっ!」
「マジっ!?あーよかった、、、いやーよかったよぉ、、ねぇ、松潤?あら、急ぎ?」
「うん、このあとすぐドラマ。」
「そっか、忙しいもんね!ファイト!」
「おぅ、さんきゅ。」
急いで身支度を整えている潤。
頑張れよ…心の中で呟く。
収録を振り返り、なんだかんだ口にするこの時間も好きだが、心から笑えないな。
このあと俺も局内で仕事がある。
終わったら潤の現場に顔出してみようか。