その瞳は誰を見てるの?
第14章 その瞳は誰を見てるの? 14
~S side~
何事もなかったように、楽屋の空気は戻っている。
急いでいる潤に少しだけ話しかける。
「お疲れ。この後すぐドラマだよな?」
「そう。めちゃめちゃ時間がなくて…ははっ…必死な感じ?でもこの上階だからいいんだけどね。」
「大変そうだけど調子はどうなの?」
「アクション多いから大変だけど、キャストが素晴らしい方ばかりだし、すっごく楽しいし充実してる……公私ともにねっ!」
「おぅ……それならよかった……体にだけは気を付けて頑張れよな。
あっ、そうだ。俺も今日は此所だから、終わったら顔出すよ。いいかな?」
「ほんと?嬉しい……待ってる……」
キラキラした笑顔になっていく潤。
おまえはこんな俺に、最高の笑顔をくれるんだな。
そしてそんな時の智くんは、わざと聞こえないふりをしているように見える。
なぜなら目は合わせないものの、視線は俺らを捕らえているから。
板挟み。
自分でしたこと。
自滅。
しょうがない。
ここんとこ、ネガな言葉ばかり。。
「じゃ、お先でーす!」
「あ、おいらも行くっ!お疲れっしたぁ!」
珍しい。
潤と智くんが一緒に出ていった。
複雑な気分だな。
「翔さん、ちょっといい?」
にのが小声で話しかけてきた。
「ん、あまりゆっくりできないけどいい?」
「ごめんね。この後まだあるんだよね?」
「うん。でも此所だから大丈夫だよ。」
「じゃ…ちょっと外…出よっか?」
「ん?あぁ………」
改まった感じだな。
なんとなく話が見えてきたような気がする。
きっとさっきのコトだろう。