その瞳は誰を見てるの?
第2章 その瞳は誰を見てるの? 2
口づけたまま、微動だにしない二人。
……智っ…待っ…て……
言葉にならない。
心の中で叫んでいるのに。
「さ…とし……ぅんっ……」
俺の頭には潤の顔がハッキリ浮かんでいるのに、キスが止められない。
ナゼ?
潤が泣いている…全身震わせて、涙を溢れさせて。
そんな涙でいっぱいの潤が、俺の中を占めていく。
っ……俺はいったい……
~O side ~
しょおくんの柔らかい唇。
どのぐらい口付けていただろう。
しょおくんは頬を紅潮させつつも、せつない表情を浮かべている。
「しょおくん…今、松潤のこと考えてたでしょ?」
「えっ……!?」
「いいよ…当然だよね。
でもさ、松潤のこと想いながらでも、おいらとキスしてた……離れようと思えば離れられたでしょ?
ふふっ……なんで?なんて訊かないよ。そんなしょおくん全部が好きなんだから……」
暫く続いた沈黙を破る。
「さ…智くん……悪い…今日はもう帰るよ……」
力なく立ち上がるしょおくん。
いきなり悪いことしたかな。
「あ…うん……しょおくん、明日早いんっ……」
おいらの言葉を遮り、思いきり抱きしめられた。
「あなたのことが好きだから…だから離れなかった…離れられなかった……でも…
俺は最低だ……」
抱きしめる腕にも力が入る。
「しょおくん?言ったでしょ?そういうところも全部好きだって……いいんだよ…松潤のこと想って……
しょおくん……愛してる……」
おいらからキスをした。
瞳に涙をいっぱい溜めたしょおくん…ツラいよね……
その痛みも一緒に受け止めるよ。
心配しないで。
心の中でそう呟きながら、愛おしい人の目尻にもキスした。