その瞳は誰を見てるの?
第14章 その瞳は誰を見てるの? 14
行っちゃった。
僕の大好きな翔ちゃん。
潤くんと大野さんの間で揺れているのかと思ったら、ふたりへの揺るがない気持ちが見えてしまった。
大野さんの翔ちゃんへの想いは、前から知ってるよ。
大野さんは僕のあなたへの気持ち、知らないでしょ?
当たり前か。
あれだけ応援してて、その想いには叶わないと思ってたから。
潤くんの翔ちゃんへの想いも、痛いほど伝わってきたよ。
それにも叶わないと思った。
翔ちゃん……大好きな翔ちゃん。
でも、手が届かない。
大野さん……大好きな大野さん。
でもやっぱり、手が届かない。
翔ちゃんよりも僕の気持ちの方が、よっぽどおかしいよね。
絶対に成就しない、ふたりへの片想い。
哀しいけど笑っていられる。
それはね、大好きな貴方たちが幸せになってくれると信じてるから。
「和くん……」
涙が溢れた瞬間、まーくんの声が。
「大丈夫?泣いてるの?」
「え……そんな訳ないでしょっ?あ…相葉さん、急にナニよ?」
まーくんは黙ったまま、僕の濡れた頬を優しく指で拭ってくれた。
「和くん、我慢しないで…泣いていいよ。」
その言葉を聞いた途端、堪えた涙が溢れだした。
「うぅっ……まーくん……ああ……まーっ…くんっ……んっ」
抱きしめられながらまーくんの胸で大泣きした。
ありがと。
黙って受け止めてくれて。
泣き止んだらもう大丈夫。
だから、
今だけは、
このままでいさせてよね。