その瞳は誰を見てるの?
第15章 その瞳は誰を見てるの? 15
~J side~
翔さん、さっきの楽屋で話してたこと、全部聞こえていたし、気付いてたよ。
にのがさりげなく拾ったところも見てた。
何を拾ったのかはわからなかったけど。
でもね、本番後に相葉くんが言った騒動で、合点がいったんだ。
珍しくふたりが先にいて、既に衣裳に着替えていたこと。
にのが拾った物をごみ箱に捨てずに、パンツのポケットに仕舞い込んだこと。
最後に確信……アナタが衣裳を脱いだ時、背中に左右対称の赤い爪痕が残されていたこと。
あってるでしょ?
僕が思ってるコト。
アナタらしくないよね?
こんなにわかりやすい、こんなに隙だらけの行動をするなんて。
盲目になるほどあの人に夢中なの?
僕は…もういらない…?
ううん、そうじゃない。
アナタは僕もいるんだ。
僕のことも離したくないんだ。
でなきゃ、アナタの優しさに触れることも、相変わらず僕を甘やかすことも、思いやりのある…それでいて熱く激しく愛してくれることも、ないはず…でしょ?
大野さんもそうなんだろうね。
あの人がアナタのことを見つめる瞳は、僕にもわかる程の想いがこもった瞳なんだよ。
アナタがあの人を見つめる瞳もそう。
昔から変わらない……ってことは、もしかしたら僕よりも先にあの人のコトを……?
平常心保ってるふりしてるけど、本当は嫉妬で狂いそう。