その瞳は誰を見てるの?
第3章 その瞳は誰を見てるの? 3
部屋に着くと、すぐに風呂を沸かした。
潤の体が冷えきっている。
ずっと待っていたのか。
辛かったよな……辛いよな……
俺は潤に嘘をついた。
初めて潤を裏切った。
智くんとのコト……最低だ……
わかっていて、俺は言わなかった。
潤……
智……
ずっと避けてきた、智への想い。
自分の中で否定し続けてきたのに、胸の奥にしまい込んだのに、あんな形であっさりと溢れ出してしまった。
潤を想い続けてイイって…どういうことだよ!
そんなんでイイのかよ!って、なんだコレ……?
どう考えたって、おかしいだろ?
潤が風呂から出てきた。
落ち着いた表情を見せる。
ゆっくりと傍に寄ってきて、俺の隣に座り温まった体を預けてきた。
肩に手を回して潤を抱きしめる。
辛かったんだよな……潤…じゅ…ん……
「翔さん…痛いよ……」
気付いたら力一杯抱きしめていた。
「どうしたの…?大丈夫…?」
「お前を離したくなくて……もう少しだけ、こうしていてもいいか…?」
「うん…翔さんの好きなだけ……抱き…しめ……て………」
ん?潤?
起きてる?
風邪引くぞ?
しょーがないな…ベッドに連れて行くか。