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「人間の言葉通じるのかな。まあ、いいや。ねえ猫さん、なんでもう片方の猫さんばっかり、餌をもらい、傘をさしてもらっていたんだと思う？」


　もちろん猫は何も答えません。


「それはね、鳴くってことで伝えていたからだよ。伝えなきゃ相手はわかってくれないんだ。黙っていちゃ何も始まらないんだよ」


　猫は女の子の手をペロリとなめました。女の子は、ほほえんで続けて話します。


「誰かを待っているだけじゃダメなんだ。伝えなきゃ。それって大切なことなんだよ。私もね……拒否されることは怖いよ。けど伝えなきゃ分からないから伝えるんだよ猫さんにも知ってほしいな」


“ニャー”


　猫は、とても久しぶりに鳴きました。女の子は笑顔になり、言います。


「そうだよ。そうしたら、少ないかもしれないけど今より分かってくれる仲間がきっと増えるよ。私は飼ってあげられないけど、猫さんが幸せになれるのを祈っているからね」