欲望ベイベー
第14章 待ってるってしんどいの。
んふふ、と1人笑いながら今度こそ玄関を出る。
仕事ではしょっちゅう会ってるけど、プライベートで潤くんと翔さんと揃って会うのって久しぶりだな。
デレデレの翔さんからかって遊んでやろうっと。
大通りでタクシーを捕まえて乗り込んだ。
そうだ、相葉さんにメールしとかないと・・・
N「ん?」
ポケットをパタパタ叩いてみるが、何も入っていない。
スウェットのポケットにはサイフだけ。
N「・・・あ。」
パーカーだ。
そうだよ、パーカーのポケットに入れたんだった。
あちゃあ・・・
とっくに走り出しているタクシー。
戻ってもらうのは面倒だし、お金も勿体無い。
あとで潤くんにメール頼めばいっか・・・
どうせ連絡くるのなんて相葉さんくらいだし。
スウェットのポケットに入った鍵が、チャリ、と揺れる。
ふふ♪
今、宝物は何かとインタビューを受けたら、間違いなくこの鍵だと答えるだろう。
確かなものが無い俺らの恋愛の中で、この鍵だけが、恋人の証である気がした。
ねぇ、相葉さん。
毎日好きって気持ちが溢れちゃって、俺の体に収まりきらなくなってきてるよ?
N「なんとかしてよ。」
ぽそっと小さく呟いてみると、ますます会いたくなってしまった。