欲望ベイベー
第20章 結婚式。
A side
A「・・・・・ウソだろ。」
今日の撮影は、スムーズに進めば夕方で終わる予定だった。
遅くても、結婚式には十分間に合うスケジュール。
「すみません!!機材トラブルで・・・
直り次第撮影再開となります。」
A「どれくらいで直るの?!」
「まだなんとも・・・
すみません、目処が立てばまたお声かけさせて頂きます。」
A「・・・・・。」
どうしよう。
こういうトラブルは経験した事がある。
機材トラブルなんて、すぐには直らない。
A「なんで今日なんだよ!!」
楽屋に戻ってソファに倒れこんだ。
まだ間に合わないと決まった訳ではない。
最悪、にのちゃんより早くにおーちゃんか翔ちゃんが到着してくれれば、俺が遅れても時間稼いでくれるだろうし。
サプライズには支障は出ないだろう。
翔ちゃんはきっと遅刻しない、大丈夫だ。
楽屋の隅に置いてある大きな紙袋。
中に入っている衣装をそっと取り出した。
真っ白なタキシードが2着。
プロポーズしたあと、2人でこれに着替えて式を挙げるんだ。
にの、ビックリするかなぁ。
A「くふふふふふふ♡」
ダメだ、ニヤニヤが止まらないっ!
こんなだらしない顔じゃにのちゃんを胸きゅんさせらんないよ。
超カッコ良いプロポーズをイメージトレーニング・・・
うん、イメージの中の俺は超スマートでイケメンだ。
大丈夫。
早く会いたいなぁ。
楽屋で1人っきりの俺はとくにする事もなくて。
少し休もうかと目を閉じれば、浮かんでくるのは可愛いにのの笑顔。
ニッコリ微笑むにのはやっぱりべらぼうに可愛くて。
どうしてもニヤニヤを堪えるのは困難だった。