欲望ベイベー
第21章 翔くんの愛。
S side
何から話そうか・・・
相変わらず、潤相手だと言葉を選び過ぎて口下手になってしまう。
M「俺、最近結構悩んでた。」
S「・・・うん、ごめん。」
不安にさせてるだろうとは思ってた。
S「智くんと雅紀から、聞いたよ。」
潤が、愛してるって言葉がほしいって。
言ってくれたら一緒に暮らすって。
今すぐ言ってやれと智くんに言われた。
M「・・・あれ忘れて。
どうかしてたんだよ俺。
別に翔くんから言ってもらわなくたって、俺、」
S「潤。」
隣に座る潤の手に触れる。
やっぱり、お互い緊張してるせいで繋ぐ手がぎこちない。
S「なんで、急に潤があんな事を言い出したんだろうって考えてた。」
M「・・・別に、急にじゃない。」
S「じゃあ、ずっと不満に思ってたのか?」
M「不満なんて持ってないよ!
別に言葉なんかなくたって、一緒にいれたらそれで良い・・・」
S「俺もそうだよ。」
M「・・・・・。」
繋いだ手にぎゅっと力を入れて、俯いてしまった潤。
おかしいだろ?矛盾してるんだよ。
S「言葉をほしいと思った理由が何かあるんだろ。」
M「・・・・・。」
S「潤、」
M「・・・優しくない。」
S「え?」
バッと顔をあげた潤が、涙目で俺を睨む。
M「確かに言葉なんて重要じゃないかもしれない。
気持ちが伝わってればそれで良いのかもしれない。
でも!!」
胸ぐらを掴まれて、至近距離に潤の瞳が揺れる。
怒る潤を見るのは久しぶりだ。