
欲望ベイベー
第21章 翔くんの愛。
S side
M「減るもんじゃねぇんだ、言ってくれてもいいだろ!
俺から言えば良いのか?!
それとも、愛してるなんて俺が言ったら気持ち悪いかよ?!」
S「潤!ちょっと待て、」
M「うるせぇ!!」
S「お前のがうるせぇだろ!落ち着け!!」
少し声を張ると、俺の胸ぐらを掴んだ手がピクリと揺れた。
M「・・・むかつく。
ちょっとは相葉ちゃんの優しさを見習えよ。」
S「雅紀なら、欲しい言葉をくれるか。」
M「・・・・・。」
S「雅紀なら、いつでも優しくて俺より愛してくれるか。」
雅紀を引き合いに出したのがバツが悪いんだろう。
掴んでいた手を離して、そっぽを向いた潤。
S「俺たちはあいつらじゃない。」
M「分かってる。」
S「分かってねぇよ。」
M「分かってるよ!!」
泣き出しそうな潤が、大声で叫んだ時。
ポツポツと小さな雫が降ってきた。
雨・・・
こんな険悪の中、雨まで降るのかよ。
話の続きは中に入ってから、そう思って潤に手を伸ばした瞬間・・・
バケツをひっくり返したような、とはまさしくこの状態の事だろう。
ザーーーッ!!と急に強く降ってきた雨に、俺と潤は一気にびしょ濡れになってしまった。
S「なんっだこの雨は!!」
M「空が怒ってるんだ!
翔くんが優しくないから!!」
S「なに可愛い事言ってんだお前は!!」
扉をあけて館に入ると、びしょ濡れになった体がなんとも気持ち悪い。
M「・・・これから結婚式なのに。」
S「まだ2人から連絡ねぇな。」
M「大広間に戻ろう。」
S「待て、まだ話が、」
M「もう良いよ。
それより今日は結婚式だろ。」
S「おい!」
1人でスタスタと大広間に戻る潤を、慌てて追いかける。
まだ何も気持ちを伝えられてないのに!!
