テキストサイズ

欲望ベイベー

第21章 翔くんの愛。



S side



でもまぁ・・・
潤にとって憧れのカップルなわけだから。
2人が結ばれたのは心から嬉しいものなんだろう。



その憧れが強過ぎて、こっちはちょっとこじれてる訳なんだけど。



S「潤、超簡潔に話をするが。」



M「なに・・・」



鼻を啜りながら、涙目のまま俺を見る。



S「俺は、やっぱり愛してるなんて言えない。」



M「・・・・・。」



S「そんな簡単に口にできるかよ。」



M「・・・そっか。」



S「お前が言葉を欲しがった理由は、2人にあるんだろ?
お前は2人のような関係に憧れたんだ。」



ずっと近くで雅紀とニノを見てきたから。
それこそ、ガキの頃から。



S「2人は親友だったし、
恋人になる以前から恋愛感情抜きでお互いを想い合ってた。
ずっと、隣で過ごしてきた2人なんだ。」



M「・・・そうだよ、2人が・・・羨ましかった。
2人で居ることが当たり前で、
自然に、愛してるなんて言える関係が・・・」



確かに、あんなにナチュラルに愛してるを言える日本人カップルはそういないだろうな。


M「・・・さっきカズが言ってた、
全てのポジションを手に入れたってやつ。」



親友、嵐、恋人、花嫁。
ってやつか。



M「俺たちには、無い。」



S「・・・確かに俺らは親友ではなかったけど。
絆の深さであいつらと競うなよ。」



ムッとした潤が上目遣いで俺を睨む。



M「別に競ってる訳じゃ・・・
じゃあ、“可愛がってた後輩”ってポジション足してよ。」



それでポジションの数的にはカズと一緒だもん、と拗ねながら言う潤が可愛い。



ヤバイ。超可愛い。



S「潤、ものすごく可愛いけど話を聞いてくれ。」



M「いいよもう。翔くんの言ってる意味よく分かんないし。
愛してるって言ってくれないなら別にそれで良いし。」


本当に話を聞く気がないらしい。
ウンザリした顔でそっぽを向いてしまった。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ