欲望ベイベー
第21章 翔くんの愛。
S side
S「・・・“可愛がってた後輩”ってポジションも却下だ。」
これにはショックを受けたのか、バッと俺に振り向いた潤が険しい顔をした。
M「・・・そんなヒドイ事わざわざ言う?」
S「悪いが、お互い同じ認識である事が、この場合ニノの言ってたポジションという事になるんだろう。
俺はお前の後輩じゃない。」
M「そんな細かい事・・・」
S「それに、俺にとってもお前は可愛がってた後輩とはちょっと違う。」
M「・・・ああそう。」
S「たぶんもう好きだった。」
M「・・・は?」
S「お前に初めて会った日の事、すげぇ鮮明に覚えてるよ。
細くてちっちゃくて目がでかくて。
めちゃくちゃ可愛かった。」
M「虫みたいって言ったくせに。」
S「思春期男子だぞ。可愛いなんか言えるか。
まさか恋だなんて思ってなかったけどな・・・
でも、どんな女と付き合っても、お前の方が可愛かった。」
M「・・・ウソだ。」
S「ウソじゃねぇよ。」
さっきまで拗ねて不機嫌だったのに、瞳をキラキラさせて俺を見つめる。
そういえば、昔から俺に褒められるのが好きだったな。
大人になってそんな態度を取る事は無くなっていたけど・・・
恋人として付き合うようになって、どんどん昔の潤に戻っている気がする。
・・・それは俺も同じか。
昔のように、潤を構いたくて仕方がない。
M「・・・じゃあ、“両片思い歴が長い”ってポジションなら良いんじゃない?
俺も、ずっと好きだったから・・・」
頬を染めて、俺を上目遣いに伺う潤の可愛さを、どう言葉で表現したら良いだろう。
メッチャ可愛い・・・!!
S「よし、採用しよう。
俺らはお互い片思い歴が長かった!
良いじゃん。
それを加味すると恋人に深みが出るな。」
M「ふふ、なにそれ。笑」
S「あいつらに勝てるとこ見つけたな。」
M「別に張り合ってない。」
ウソつけ。
と思ったのは内緒にしとこう。