欲望ベイベー
第8章 急下降。
A side
チラチラとにのを盗み見る。
男たちの真ん中に座ったにのは、随分機嫌が良さそうだ。
口元を両手で抑えてクスクスと笑う姿に、苛立ちが募る。
そんな可愛い仕草してんじゃねぇよ。
若い男たちは、にのの可愛い仕草を見る度に歓声を上げて騒いでいる。
あいつ、だいぶ酔ってんじゃねぇか・・・
しなだれかかるように隣の男に体重を預け、上目遣いでニッコリ笑う。
A「・・・」
あ、俺キレそう。
何で恋人が他の野郎に甘えてるとこ見なきゃなんないの?
てかそいつらとヤッてんじゃねーの?
我慢の限界だった。
A「すみません、ちょっと・・・」
席を立つと、真っ直ぐににのの元へ進む。
気付いた男たちが、俺を見て固まった。
まぁ、機嫌が良さそうには見えないだろうね。
A「にの。」
N「んー?」
俺をとろんとした瞳で見上げるにの。
あまり驚いてないな・・・
にのも俺に気付いてたのか。
A「飲み過ぎだろ。」
見下ろしながら低いトーンで言うと、にのが不満気にプイッとそっぽを向く。
N「・・・良いじゃん、たまには。」
へぇ、口ごたえするんだ。
「あの、相葉さん・・・、」
A「ああ、ゴメンね?
飲んでるとこ邪魔しちゃって。」
「い、いえ!とんでもないです!
お疲れ様です!」
ビビり過ぎ。
思わず笑いそうになる。
俺、そんな怖い顔してんのかな。
この中に、にのに手を出した奴がいるかもしれないんだから
優しく笑ってやるつもりは無いけどね?
A「悪いけど、こいつ引き取るわ。」
パッと顔を上げたにのが、涙目で俺を睨む。
んな顔すんなよ・・・
隣の奴が息を飲んで見惚れている。
N「やだよ、帰んない。
相葉さんも向こうで飲んでんじゃん。」
A「もう帰るから。」
N「さっき来たとこじゃん!」
A「お前なぁ、そんな酔って今まともに歩けないだろ。
送ってやるから来い。」
イライラする。
酒が入れば特に甘えたになるにのが、俺を求めない。
それどころか隣の男にくっついて離れようとしない。