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欲望ベイベー

第8章 急下降。



A side



「あ、あの・・・良かったら、俺らが送りますよ?」



恐る恐る口を開いた男を睨み付けた。
何言ってんだコイツ。



N「・・・ほら。
相葉さんじゃなくて良いもん。
俺なんか構ってないで、早く戻れば?
待ってるんじゃないの?」



随分反抗的だな。
さっき一緒にいた女の子にヤキモチを妬いただけでは、ここまでにならないだろう。
やっぱり、俺の他にも男がいるんだ・・・
そう思うと信じられないくらい胸がきつく締め付けられた。



にのの腕を掴んで無理やり連れ帰りたい。
でも、そんな事した所で何も解決なんかしない。
むしろ、にのを傷付ける事になりそうだ。



俺いますっげぇイライラしてんだもん。



反抗しながらも、
チラチラと俺の機嫌を伺うにの。
可愛い上目遣いが、今はイライラして仕方ない。



お前は自分を気持ち良くしてくれるなら誰でも良いのか?
寂しがり屋で甘えん坊で、愛されるのが大好きなにの。
俺だけの愛じゃ、物足りなくなったのか。



A「にの、」



優しく諭してやれば、コッチに来るかもしれない。
怒ってないよ、愛してるって言ってやればきっと俺の腕の中に来る。



N「・・・・・」



にのもそれを期待してる。
不安そうに俺を見つめるにのの瞳が、縋るように揺らめいた。



なぁ、何でそんななのお前。
俺の事しか好きじゃない、みたいな瞳で見つめるくせに、他の男にも可愛がられてるんだろ?



A「好きにしろ。」



短く言い捨てて、にの達の席を離れる。
優しくなんかしてやれないよ。



ゴメンな、にの。
自分でも気付いてなかったんだけど。



俺、すげぇ怒ってるみたいだわ。



N「っ・・・、」



にのが何か言いかけた気がしたけど、振り返る事はしなかった。





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