誰も見ないで
第4章 真実と真実
そう思った瞬間どくん、と心臓が嫌な音を立てる
あの時の僕って
メール……無視、した
後悔が波のように、ってよく言うけど僕にも本当に波みたいに訪れて
一気に水位をあげて僕の心をいっぱいにした
「……っ」
ぎゅう、と自分の胸のあたりを掴んでそれに耐えようとするけど、外部からの衝撃で心をどうにかしようなんて当然無理
息も苦しくて
涙が出そうになった
すると、クラスメイトから
「紺野君……大丈夫?」
と声をかけられる
いけない
心配かけちゃ
「大丈夫。ありがとう」
となんとか答えると、その人が教室の出入り口を指しながら
「紺野君を呼んでるよ」
と言った
僕を?
大和くんかな
いやでも大和くんは学校では話しかけて来ないし
そう思いながらまたその人にお礼を言って席を立つ
そこでちゃんと見た僕を呼んだ人はなんと、渡辺君の幼馴染の原君だった
なんで僕を呼んだんだろう
……渡辺君のこと……だよね
きっと
未だ後悔の水でいっぱいいっぱいの胸を深呼吸でどうにか耐えつつ入り口に向かうと、原君はにっこり微笑んだ
「初めまして。湊斗の幼馴染の原です」