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誰も見ないで

第4章 真実と真実


「は、初めまして……紺野です」


微笑んだ顔はクラスの子が顔を真っ赤にしてる理由がわかるぐらいかっこいい

けど今の僕にはそんなことよりもどうして呼ばれたのかって理由の方が気になって集中出来ない


「ちょっと話したいことがあるんだけど、いいかな」
「……はい」


後ろでクラスの人たちが原君に熱い視線を注いでるのはわかるけど、僕はこれからされる話が不安で不安で血の気が引く思いだった


授業がない限り人が滅多に来ない特別教室の階の廊下の端っこ

そこに僕を連れて言った原君は振り返るなりこう言った


「時間もないから手短に聞くね。紺野君、土曜日に湊斗と出かける約束してた?」


また心臓が大きな音を立てる


「……はい」
「待ち合わせの時間は昼の11時って聞いたんだけど、もしかして湊斗の勘違いで夜の11時だった?」
「…………いえ、昼の11時で合ってます」
「だよね。そんな遅い時間、18歳未満は補導されちゃうもんね」


笑顔が、怖い
すごくすごく怒ってるんだ


「じゃあ待ち合わせ場所は、駅前の広場じゃなかった? 別の駅だったのかな」
「……いえ、別の駅じゃ……ありません……」

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