誰も見ないで
第5章 好きになんて(サイドストーリー)
一気に蘇る全ての記憶と湧き上がってくる羞恥心に何も言えなくなる
「ーーーっ」
けどそんな俺には見向きもせず、相原大和は近づいてきたかと思えば俺の額に手を当てて熱を計り
「やっぱ引き始めにちゃんとしとくもんだな。今日中安静にしとけばいいだろ」
と言うと大きな伸びをしてから立ち上がった
「じゃあ俺帰るわ」
「は……? え……」
「じゃあな。大人しく寝てろよ」
そして飛び起きた反動で未だにベッドに座ったままの俺の頭をぽんぽん、と叩いて鞄を持つと部屋を出て行ってしまった
ぽかん、と1人部屋に残された俺
なん、だったんだ
ほんとに
いなくなってからまた今日のことを思い返して
風邪、は……良くなってる、けど
でも俺今日学校内で担いで運ばれて
看病されて
一緒に寝……っ
恥ずかしさのあまり誰もいない家の中で顔を隠すように布団に顔を埋めた
そして怒りの矛先は
湊斗……
お前のせいで……
俺に風邪を引かせて、やっかいな幼馴染を持った人を恋人にした自分の幼馴染へと向く
それにしても、俺と相原大和の学年が違ってほんとに良かった
これを同級生が知ったりしたら死ぬかもしれないから