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誰も見ないで

第5章 好きになんて(サイドストーリー)


その美形に似合わず子供のようにはしゃぐ幼馴染の額に手を当てる


「熱ちゃんと下がってるでしょ?」
「……うん。いいかな」


なんの抵抗もなく受け入れられた俺の行動に、ハッとする


俺がやられてびっくりしたこと、俺も湊斗にやってたのか

やっぱり俺と相原大和って似てるのかも


「ねぇ、湊斗は相原大和と話したことあるんだっけ?」
「ん? ない、かな? 多分」


先輩だって意識してなかったらわかんないけど

とぼんやり話す湊斗


まぁあるわけないか
湊斗は自分から人に話しかけに行ったりはしないし


「正樹? 遅刻しちゃうよ」
「あ、うん。行こう。……って湊斗、頭の後ろ跳ねてるぞ」
「あれ? 寝癖かな」
「ったく……ちゃんと鏡見てから来たの?」


ため息を吐きながら手でサッと直してあげると、「ありがとー」と間延びのする声を出す湊斗


なんか、こうやって自分が世話してる側だと癒される気がする

俺ってやっぱり湊斗に言われる通りおかんなのかな


立場が立場ならこの前みたいに世話するのは相原大和じゃなくて俺だったりもするのかな


そんなことを考えていたらまた湊斗に「正樹はやくー」と声をかけられて学校へと向かった

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