誰も見ないで
第5章 好きになんて(サイドストーリー)
そして授業を受けて4時間
お昼休み
用事があって職員室に先に行ってから、お弁当を食べようと思って鞄を開くと
あ、やばい
お弁当忘れた
いつもは入ってる母の作ってくれたお弁当がない
……入れた記憶がそもそもないから確実に忘れた
母に心の中で謝りながら席を立つ
「ごめん。俺お弁当忘れちゃったから買いに行って来る」
するとクラスメイトが時計を見て
「あー……なら急いだ方がいいんじゃん? この時間だともう売り切れてる可能性もあるぞ」
と言った
確かに時刻はもう昼休みを半分過ぎそうになるところ
やばいな
ウチの購買結構早く閉まるし、最悪お昼ご飯抜きだ
行って来るよ、と友達に声を掛けて財布を持って立ち上がる
そして急ぎ足で購買に向かったんだけど、その道すがらたくさんのノートを持った女の子が歩いているのを見てしまった
あぁ、こんな時に
普通なら別に助ける必要はないんだろうけど、俺の性格的に無視するわけにもいかず
結局
「重そうだね。大丈夫?」
と声をかけてしまった
「正樹くんっ……あ、えと……先生に集めるの頼まれてたんだけど、みんなの集めてたらこんな時間になっちゃって……」