誰も見ないで
第5章 好きになんて(サイドストーリー)
すると
「ったく……なんでそこでお人好し発揮してんだよ……」
と盛大にため息を吐かれてしまった
そんな言い方をされて少しムッとした俺は言い返すために口を開く
「困ってる人がいたら助けるでしょう」
「助けねぇよ。大して仲が良いわけでもねぇ奴のことなんか」
「それは先輩が冷たいからです」
なんなんだこの人
そう思っていると、校内に昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴った
結局何にも食べれなかったな
「それじゃ、授業に行かないといけないので。失礼します」
そう言って俺が立ち去ろうとすると、何故か歩き出した俺の腕を後ろから掴まれる
「? なんですか」
「困ってる人がいたら助けるんだろ」
相原大和の、悪そうな顔
そして俺の中に走る嫌な予感
でも俺が逃げる判断をするよりも早く腕を掴む力が強くなって、そのまま相原大和は歩き出してしまった
「ちょ……っと、どこ行くんですか!?」
鼻歌交じりの相原大和は俺の質問に答えることなく只管歩く
廊下を少し歩いたところで曲がって、階段を上って
そして着いた先は、使ったこともない特別教室の準備室だった
「ここ……」