誰も見ないで
第5章 好きになんて(サイドストーリー)
まるで自分のもののようにズカズカと入って行く相原大和は「美術準備室だ」と言う
美術……
入ったことないはずだ
俺の学校では芸術系の授業、音楽と美術は選択教科で俺は音楽の選択だった
だから入ったことはないんだけど
相原大和は美術選択だったのかな?
慣れてるっぽい、けど
窓際に物置のように置いてあった大きな机の上の物を適当に横やら下にどかして、そこに「座ってろ」と指示した
もう5時間目は始まってる時間だし、俺は諦めて大人しく机に腰かける
相原大和はというと棚を漁りながら
「今日は食い物だった気がする……」
と呟いている
そして「お、あったあった」と言いながら取り出したのは
パン……?
コンビニで6個でいくら、みたいに売ってるバターロール
なんでそんなものがここに
すると、俺の疑問に気がついたらしい相原大和がこっちに近づきながら
「デッサン用の資料なんだよ。食い物じゃない時もあるけどな」
と教えてくれた
なるほど
確かにデッサンとかには食べ物とかも使うよね
って
「それ勝手に食べたらダメでしょう」
俺がそういう間に相原大和は豪快にパンを開封している