誰も見ないで
第5章 好きになんて(サイドストーリー)
あんなことがあって5時間目に出られなかった俺は友達にそれっぽい言い訳をして、6時間目から授業に出席した
けど、授業中もずっと頭を離れない相原大和からのキス
やべ、ってなんだよ
そして、その後に相原大和の口から自然と漏れた言葉
けどよく考えてみたら、俺にとっては相原大和とのキスが「やばい」ことじゃなかったのか?
俺だって男とのキスなんて「やばい」よね
別に男同士の恋愛に偏見があるわけじゃない
だから湊斗と紺野君が付き合うって時も普通に祝福できた
とは言っても俺は女の子が好きだし
これまで彼女だっていた
なのになんでこんな
「次の問題は……原! 前に出て解いてくれ」
すると、考えてる途中で先生から指名された
今それどころじゃないのに
数学の教師は俺の方をにやにや笑いながら見ている
この人、ほんとに俺のこと嫌いだよね
授業中よく指名されるし、テストの点数もたまに俺だけつけ方厳しいことがあるし
「この数字じゃ読めない」「この証明じゃ足りない」と理不尽な文句をつけられて落とされたテストを思い出して胸がムカムカする
今指された問題だって、教科書に載ってるものじゃない