誰も見ないで
第6章 キスの次は
俺が渡したパジャマ用のTシャツはびっくりするぐらいダボダボ
しかもドライヤーの場所がわからなかったのか髪の毛が濡れててちょっと色っぽい
「ふふ、ごめんね。俺が無駄にデカイから」
「……すみません、ちっちゃくて……」
拗ねてる?
照れてる?
どっちにしてもかわいいけど
瑞稀君が必死で腰のあたりを押さえてると思ったら俺が貸したジャージだったみたい
紐で締めても緩いか
「ジャージは履くのやめよっか? 普通に下まで隠れてるし、いらないんじゃない?」
俺が聞くと瑞稀君は諦めたように「そうですね……」と言って俺にジャージを返してくれた
一応中学の時に使ってたやつだったんだけど
そんなこと言ったらまた怒らせちゃうよね
「あ、あと髪の毛乾かさないと。おいで」
俺が言うと瑞稀君は「?」と首を傾げている
「いつも乾かさないです」
意外と男前な生活だなぁ
それでそんなに髪の毛サラサラなの羨ましい
「でも気持ちいいし、俺がやってあげるから今日はやろう」
別に嫌なわけじゃなさそうな瑞稀君は「はい」と返事をして大人しく俺についてきた
「はいじゃあそこ立っててね」