誰も見ないで
第6章 キスの次は
「はい、終わり」
俺が全体的に濡れてるところはないか確かめるためにサラッと触る
うん、気持ちいい
それにしても瑞稀君頭ちっちゃいな
「シャンプーのいい匂いだね」
俺が髪の毛に鼻を近づけて匂いを嗅ぐと、瑞稀君が焦ったように離れた
「あ、ありがとうございました……!!」
「? うん」
もう少し近くにいたかったのにな
でもお腹すいたよね
「ご飯にしよっか」
「はい」
じゃあリビング行って、と瑞稀君を後ろから急かして歩き出すと、瑞稀君の脚が目に入る
白くてつるつるで、綺麗
触りたい、なんて
流石にご飯食べる前に考えるのはおかしいよね
ていうか俺、さっきから瑞稀君に触りたいってばっかり考えてるなぁ
髪の毛とか、脚とか
あんなに触れ合ったばっかりなのに
ううん
ほんとはわかってるんだ
触ってた時間と触りたい欲求とは関係ない
どれだけ触ってたって瑞稀君に触れたいって思う気持ちは変わらない
それどころかもっともっとって思うばっかりで
恋愛に方程式はないって言うけど、こういうところにも当てはまるんだ
比例して減ってくれたら俺だってもっと落ち着いていられるのに