誰も見ないで
第7章 罪と罰と罪と
せめて姿が見えなくなるまでって思って後ろ姿を見ていると、見えなくなる直前で湊斗君が振り返ってくれた
「!」
嬉しくて、見えないかもと思いつつ手を振ると湊斗君が大きく振り返してくれて1人で笑う
そして湊斗君が見えなくなってから僕はゆっくり自分の家へと歩き出した
足が重い
行きたくない
けど、行かなきゃ
家の扉の前で深呼吸を1つして、ゆっくり鍵を開けた
キィ、と軋んで
パタン、と閉まる
その僅かな音で僕の帰宅に気がついたらしく、バタバタと荒っぽい足音が向かって来る
そしてその姿が見えた
「…………久しぶり。お父さん…………」
どれくらいぶりかな
数ヶ月ぐらいだっけ
暫く家に帰ってこなかった実の父が、僕の姿を見て眉を吊り上げる
「瑞稀!!! 今までどこ行ってたんだ!? あぁ!?」
そして怒号を浴びせながら僕に迫って、僕の髪の毛をぐ、と力強く掴んだ
「い、たい……っ、やめて……!!」
「やめろだと!? お前が家にいないのが悪いんだろうが!!! 違うか!?」
今まで家にいなかったのはそっちのくせに、僕がいないと怒るのか
なんて、理不尽に腹をたてるのももう飽きてしまった僕はされるがままリビングまで引き摺られる