誰も見ないで
第7章 罪と罰と罪と
突然ふらふらし始めた俺を、正樹が横から支えてくれる
俺はとにかくすぐに来い、と父さんに言われて電話を切った
「どうした湊斗? 大丈夫?」
「……」
背中を撫でてくれる正樹が俺の方を見上げる
説明、しなきゃ
突然こんな風になってたら心配かけちゃう
「瑞稀……くん、が……警察署で保護された、って……」
震える声で俺が何とか正樹にそう伝えると、正樹も「警察?」と驚いている
けどすぐに
「何でそんなことになったのかはわからないけど、保護されたんなら良かったね」
と言った
「良かっ、た?」
良かった、のかな
「良かっただろ。だって保護されたんだから、今は安心できる状態なんでしょ?」
安心……
「そっか。そうかも……」
警察署、ってワードで怖がりすぎてそんな風に考えられなかった
なるほど、と感心している俺に「でも」と正樹が続ける
「それだけ大変な状況に紺野君がいたってことには変わらないんだから、早く行って安心させてあげなきゃね」
そうだ
俺、こんなところでゆっくりしてる場合じゃない
「明日から夏休みだし、傍に居てあげなよ」
「うん…………うん! そうだよね。ごめん正樹、俺急ぐから! またね!!」
「気をつけて行きなよ!」