誰も見ないで
第7章 罪と罰と罪と
手を振ってくれた正樹に俺も振り返しながら走り出した
今は一刻も早く瑞稀君に会いたい
汗が流れるのも無視して走り続けて、目的の建物が見えて来た
入口には俺を待っててくれたのか、父さんが立ってる
ようやく着いた
なんて、喜んだのは一瞬
近づいた父さんの表情があまりにも晴れないから、一気に不安が押し寄せて来てしまう
瑞稀君が保護されて
良かったんじゃないの……?
なんでそんな顔
「父さん……?」
息切れしながらそう聞くと、父さんは「おいで」とだけ言って歩き出してしまった
「……うん」
俺も後に続いて歩いて、警察署の中へと入って行く
何人かのすれ違う人に挨拶をしつつ、奥へと進んで真っ白な扉の前で立ち止まった
「ここに、瑞稀君がいるの……?」
「あぁ」
父さん、まだ晴れない顔
どうして
「…………」
そして、何か言おうとしてやめた、みたいな変な間の後
「入ろう」
と言って父さんが部屋の扉をノックした
中から聞こえてくる母さんの声も、いつもよりずっとテンションが低い
怖い
父さんがゆっくりと扉を開けた
室内には警察署の人らしき男の人が3人と母さんと
そして瑞稀君がいた