誰も見ないで
第7章 罪と罰と罪と
「心配かけて、ごめんなさい」
「……いいよ。無事で帰ってきてくれたんだから、それだけで」
俺が頭を撫でると瑞稀君は子犬みたいに弱々しく、だけど嬉しそうに笑った
前と比べて雰囲気が少し幼いのは、家族っていう安心感からなのかな
それとも、記憶がないせいで自分の中での年齢がおかしくなってるのかな
暫くして父さんが戻ってきたから、俺の家まで父さんと母さんが乗ってきていたうちの車で帰ることになった
父さんが運転席へ母さんが助手席に乗ると、必然的に後部座席には俺と瑞稀君2人だけになる
「お兄ちゃんは、高校生?」
突然聞かれた質問にびっくりして勢いよく瑞稀君の方を見ると、瑞稀君もびっくりしたように肩を震わせた
「あ……っ、ごめんなさい。僕……なんにも、わからない、から……」
まただ
俺のばか
「いや、俺の方こそごめんね? 考え事してただけ。俺も瑞稀と同じ高校生だよ」
「学校は?」
「同じとこ」
俺が答えると、瑞稀君は嬉しそうに笑う
「そっか。お兄ちゃんと同じ学校なんだ。嬉しい」
「……」
笑って
ちゃんと
こんなところで泣いたら変だって
家まで遠くないんだし
頑張れ