誰も見ないで
第7章 罪と罰と罪と
瑞稀君はほっとしたような顔を浮かべて
「うん」
と笑った
それから父さんが警察署の人と話があるから待っててくれと言ったから、1度俺たちだけが部屋を出て受付みたいなところまで戻った
「どこか痛いところはない?」
椅子に座った瑞稀君を母さんが労わる
「ん……お腹、痛いかも」
お腹、痛い?
それまでは話しかけられるのが怖くて見れなかった瑞稀君の方を心配になって見ると、首の方に赤黒くなった痣が見えた
痛いと言っているお腹も同じようになっているのかと思うと罪悪感が津波のように襲ってくる
すると、俺の服の裾がくい、と引っ張られた
そして
「お兄ちゃん?」
瑞稀君が小さく首を傾げながら俺に話しかけてくる
「なに?」
「怒って、る……?」
あぁ、怖がらせた?
でもどうしたらいいのか
わかんなくて
それでも俺は瑞稀君を安心させなきゃって一心でにっこり笑った
「ううん。ただ、瑞稀く……瑞稀が、無事に帰ってこれて良かったなって安心してるだけ」
こんな形で瑞稀君の名前呼び捨てにするなんて、思ってもなかったな
俺が怒ってないと言ったから安心したのか、瑞稀君の表情が少しやわらぐ