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誰も見ないで

第9章 何度でも好きになる


それを「退けて」って意味だってちゃんと理解してくれたらしい瑞稀君はおずおずと手を退けてくれる

けど、目が合ったらこんな情けないこと目を見てなんて言えなくなっちゃって


「湊斗君?」


結局顔が見えないように瑞稀君の首元に顔を埋めた

気遣うように瑞稀君が頭を撫でてくれる

俺は小さく深呼吸して心の準備をしてから


「…………今もまだ、正樹のこと好き?」


と、ちゃんと思ってることを言った


「え…………あ…………」


けど、それに対する瑞稀君の反応はびっくりするぐらい薄い

それをどうして、と疑問に思っていると


「!」


瑞稀君の腕が俺の首に回って、ぎゅうっと抱き締められた


「ごめんなさい、違うんです。あの時も、もちろん今も、僕は正樹君が恋愛って意味で好きじゃありません」
「どういう、意味……?」


ちゃんと教えて、と言う代わりに首元に顔をぐりぐり押し付けるとくすぐったいのか瑞稀君が笑った


「僕は兄だと思ってた湊斗君に恋をしたんです。だから、仲の良さそうな湊斗君達に嫉妬して……どうせ湊斗君への思いが叶わないなら、その仲を邪魔してしまおうって……」


言いながら、さっきまで笑っていた瑞稀君の声が涙声に変わっていく

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