誰も見ないで
第9章 何度でも好きになる
瑞稀君の気持ちに、胸がきゅっと締まった
痛い
じゃなくて、苦しい?
なんて言ったらいいのかわからないけど
息がしづらい感じ
「聞かせて」
ゆっくり息を吸ってから俺がそう言うと、瑞稀君も緊張してるのか小さく深呼吸をしてから話し始めた
「僕の家はお母さんが小学生の時に事故でいなくなっちゃってからずっと、お父さんとの2人暮らしなんだ」
事故で、お母さんが
「でも、お父さんはお母さんがいなくなってからは自暴自棄になって家に帰ってこなくなった。お酒と賭け事に明け暮れて、たまに帰ってくると僕に暴力を奮うようになった」
先輩の言葉を思い出す
「相原先輩が、昔からたまに連絡もなく休むことがあるって言ってたけどそれって……」
「……うん。多分お父さんが帰って来てる時のことだと思う。僕が家にいないと使いっ走りがいなくて暴れるから……」
小さく笑った瑞稀君の笑顔がすごく辛そうに見えて、ゆっくりと背中を摩った
「暴力だって、別に……何ともないって思ってた。我慢すれば良かっただけだし、今まではそんなに酷いことされるわけじゃなかった……」
瑞稀君の声色が変わったのに気がついて、胸が詰まる