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誰も見ないで

第9章 何度でも好きになる


「湊斗君を、悲しませてごめんなさい」


耳の中に響く瑞稀君の心音が、悲しみを帯びてる気がする


「……うん」


涙、止まらない


後悔とか
悲しみとか

思い出せば色褪せることなく湧き上がってきて

止まらない


考えれば考えるほど



でも、過去には戻れないし
結果論とはいえ、瑞稀君はちゃんと戻ってきたんだ


だからこれからのことを考えよう

俺は2度と、瑞稀君を悲しませない


「瑞稀君のこと、ずっとずっと守るよ」


俺が言うと、瑞稀君の心音が早くなった


ドキドキしてる?
俺もだよ

俺の心音も瑞稀君に聞こえてるかな


「そのためには、ずっとずっと側にいないといけないね」


瑞稀君が小さく笑うように言う


「もちろん。ずっと側にいるよ」


でもね、側にいたいって思うのは、一方的な思いじゃだめだと思うんだ

片方が疲れちゃっても、離れないでいられるように


「だから瑞稀君もずっとずっと、俺の側にいて」


俺が生きていくのに必要な酸素酸素みたいに

当たり前に、だけど何よりも特別に
俺の隣にいて欲しい


「……はい」
「約束だよ」


俺が上を向くと、瑞稀君が頷いて俺の口に自分のそれを重ねた

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