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誰も見ないで

第10章 同棲


お互いの反応を知って顔を見合わせる


「ここに住むの嫌?」
「嫌とかじゃ……ない、けど……」


ここからなら学校も近いし
特に不便もないと思うんだけど


「だって、そんなの……悪い、よ……」


どうしたらいいのかわからない、というように瑞稀君が不安そうな顔をする


どうやって言ったら納得してもらえるんだろう、と俺が言葉を探していると


「!」


父さんが瑞稀君の頭にぽん、と手を置いて撫でた


「瑞稀はもううちの息子も同然だよ。だから気を使わずに私達に甘えなさい」


にっこりと笑った父さんに、瑞稀君が微かに頬を染める


照れてる、のかな


「そうよ!! それに親公認の同棲なんて最高じゃない!」


その雰囲気を壊すかのようなテンションの高さで楽しそうに話す母さんに、瑞稀君が固まる


「同せ……っ!?」
「え? だって湊斗とお付き合いしてるんでしょう?」


あれ、俺瑞稀君に言ってなかったっけ


軽くパニックになって説明を求めるように瑞稀君が俺を見た


「言っちゃったんだけど……ごめん。まずかった……?」


俺が言うとそうじゃなくて、と小さな頭をふるふる横に振る

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