誰も見ないで
第10章 同棲
そして父さんと母さんの方を見て
「許して、貰えるんですか……?」
小さな声で不安そうに言った
その言葉に、父さんも母さんも優しく微笑む
「許すもなにも、歓迎だよ」
「こんっなに可愛い子が息子になるのに嫌なわけないじゃない!!!!」
母さんが瑞稀君に飛びつく
そして頭に頬擦りし始めて、瑞稀君は困ったように笑った
「息子達の幸せを願わない親はいないよ」
父さんの言葉に、瑞稀君の表情に影がさす
「……僕の父も、そうでしょうか」
その呟きには母さんが答えた
「当然でしょう? 今は薬を身体から抜いて、1人でじっと考える時間が必要だけど、いつかきっとわかるわ」
それにね、と母さんは瑞稀君と目を合わせて
「こんなに綺麗な目をした子に育てられるんだもの。根っこからダメな人じゃないのはわかりきってるじゃない」
と優しく笑う
そして瑞稀君の目に浮かんだ涙を指で拭った
あぁやっぱり、父さんと母さんには敵わないな
「何か困ったことがあったら、遠慮なく私達に言うのよ」
「瑞稀を助けてあげられないご両親に代わって、全力で助けるからね」
「…………っはい」