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誰も見ないで

第10章 同棲


そうして目を移したのは、駅前の時計


あぁほら
携帯の時計から駅前の時計見ても数秒しか経ってないって


誰も見てないってわかってるのに何でか無性に恥ずかしくなって片手で顔を覆った


ちょっと顔赤い気がする
瑞稀君に会う前に治さなきゃ


パタパタ顔を手扇子で扇いでいると、手の中の携帯が震える


『もう少しで着くよ』


そんなメールになんだか落ち着かなくなって、滅多に使わない携帯の内カメラで自分の格好を確認した


いつもよりもちゃんと髪の毛やったし
服も瑞稀君が好きって言ってくれてたブランドのだし

あ、朝ご飯が歯に付いてた!
危ない


そして約束の時間5分前になって、瑞稀君から『着いたよ。どこにいる?』てメールが入ってキョロキョロ辺りを見回した

けど、時間が丁度電車の発着時間と被ったのか駅前を歩いてる人がたくさんいてわからない


あれ?
どこだろ


すると背中にとん、と何かが当たる


「?」


人と当たっちゃったかな、と思って振り返るとそこにいたのは瑞稀君で、俺を見てにっこり笑った


「見つけた!」


その瞬間心臓のあたりからぶわっと何かがこみ上げてきて、顔が熱くなった

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