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誰も見ないで

第10章 同棲


そんなことを考えていたらすぐに次の駅に電車が止まって


「わ……っ」
「みなとく……!」


どっと人が入ってきた

ドアと人に挟まれて潰されそうなところ、なんとか瑞稀君だけは自分の腕の中に入れて守る


こんなに強い力で押されたら瑞稀君本当に潰れちゃうよ


「大丈夫?」


ドアに肘で突っ張って隙間を空けたところにいる瑞稀君に小さく声を掛けると


「うん。でも、湊斗君が……」


と不安そうな目を向けられた


「俺は大丈夫だよ」
「もっと僕の方に来ても大丈夫だよ?」


確かに後ろからかかる力はすごいし、揺れる度に吊革に捕まってない人達が寄りかかってくるけど


「大丈夫。任せて」


俺はちょっと見栄を張って笑う

すると瑞稀君の手が他の人からは見えない位置で俺の背中に回って、微かに空いてた俺と瑞稀君の身体の隙間を詰めて来た


「……ありがとう」
「!!!」


俺の胸に耳を寄せるようにぴたっとくっついて来た瑞稀君に、もう心臓が壊れるかと思うぐらいドキドキする


か、かわいい
けどこんなところで


つい突っ張ってた腕から力が抜けそうになるのをどうにか堪える


早く次の駅着いて……!!!
俺歩けなくなっちゃう!!!

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