誰も見ないで
第1章 告白
けど、それより紺野君の反応……っ
何か言おうとして息を吸い込んだ気配を感じて目をぎゅ、と瞑ると
「すごく美味しいです!!」
という声が聞こえてすぐに目を開けた
「美味しい?」
「はい!」
箸を持ったままひょこひょこ小さく飛び跳ねるようにしている紺野君
あ
顔、見えた
かわいい
「……嬉しい」
俺は美味しいって言って貰えた喜びと、紺野君の笑顔が見れた嬉しさでようやく力を抜いた
あー……大変
俺の顔今変なふうににやけてるかも
でも、いっか
嬉しい
すると俺の方を見た紺野君が勢いよく顔を晒して
「つ、次、は……何食べましょう……」
とお弁当に視線を向けた
俺の顔見るとお腹空くのかな
でもなんだか、俺も安心してお腹すいてきた
「俺も食べる」
「はい。一緒に食べましょう」
今までは小さい頃からずっと一緒にいる正樹しか友達がいなかったから、こういう風に人の気持ちを考えるなんて初めてで
だからこうして相手のことを少しずつわかっていくのが、すごく新鮮で嬉しい
俺ほんと
紺野君と友達になれて良かった
これからももっともっと仲良くなりたい
「これも食べて?」
「はい。頂きます」
この時の間違った考えに俺が気づくのは、もう少し後のお話