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誰も見ないで

第11章 侵略者


それから家に帰って
カバンの中や制服のポケット
体操服を入れてた袋

あり得ないようなところに無意識で入れてたり、何かの拍子で入っちゃったりするかも、と思って全部探した

それでも


「…………ない……」


俺の荷物の中から探し物が出てくることはなかった


俺がずっと荷物を漁ってるのを近くで見ていた瑞稀君は俺に気遣わしげな視線を向けている

そしてあまりに気落ちする俺に瑞稀君は元気付けようとしてくれたのか、晩御飯は俺の好きなものにすると言って台所へ向かっていった


その背中を見送って、他に探すところもなくなってしまった俺は携帯を開く

するとメールが来ている通知が光っていた


正樹からだ
なんだろう?


何の気なしに携帯を操作してメールを開く


『湊斗今日シャーペンなくしたんだって? 見つかった?』


「えっ……」


メールを読んで、思わず声を出してしまった


なんで知ってるの
俺まだ正樹に話してないよね

キーホルダーとかタオルとかも話してないのに


予知能力に目覚めたの?
それなら俺のシャーペンも探してくれないかな


なんだか的外れなことを考えながら正樹にさっきのメールを肯定する内容の返信をする

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