誰も見ないで
第12章 侵入者
「わがままで、ごめんなさい……」
じんわりと俺を温めていた瑞稀君から手を離して、瑞稀君の頭を挟むようにした
そしてそのまま上を向かせると、涙で目を濡らした瑞稀君と目が合う
「……っ」
零れ落ちてしまいそうなほど大きな瞳は、俺と目があった瞬間少し怯えの色を滲ませる
そのことにさっきの瑞稀君の「嫌われたくない」って言葉を思い出して胸が甘く痛んだ
その痛みを和らげるようにそっと瑞稀君に口付ける
「…………ん」
柔らかい瑞稀君の唇に触れて
少しの名残惜しさと共に離れる
脳がじんと痺れるようなこの感覚は
愛しさ、だろうか
「瑞稀君、好きだよ」
「ふ、ぇ……ん、」
俺の言葉で泣き顔になってしまった瑞稀君に、声を上げさせる間も無くまた口を塞ぐ
今度は触れるだけじゃなくて、瑞稀君の唇を俺のそれで食むように
小さな水音と共に離れようとしたのを許さない、とまた口を塞ぐ
「ふ、ふぅ……んん」
僅かに開いた口の隙間から舌を忍び込ませて、瑞稀君の口の中を優しく舐めた
歯列をなぞって
上顎や、舌の裏まで
全部
俺のものだって、言い聞かせるように
丁寧に