
誰も見ないで
第13章 好きになんて(サイドストーリー2)
どこかへ向かって歩く途中、人からの視線を感じたくなくて目を閉じるともう1度目を開こうにも開けなくなってしまった
俺があんまり強く揺れると腰が痛むのを気にしてか、ゆっくりと歩く揺れが心地いい
それに、相原大和の背中からじんわり伝わる体温も
あったかくて
「…………」
「おい?」
気づけば俺は相原大和の背中で眠りに落ちていた
意識が戻ってきて、ふと目を開けると暗闇だった
真っ暗な中布団らしきところに寝かされている
五感も少しずつ目を覚ますと、近くから寝息が聞こえるのがわかった
身体に腕のような重みがあるのも
つまり俺は、相原大和に抱えられながら寝ているということ
なるほど
そう冷静に頭で分析したところで、急激に襲ってくる羞恥心
と、とにかくこの場から離れようかな
眠っている相原大和の腕からは完全に力が抜けていて、俺がこっそり動けば十分抜け出せそうな気がする
そう思ってゆっくり出て行こうと思ったんだけど
目に入った相原大和がTシャツで寝息を立てる姿に何となく惹かれて
「……」
抜け出す前に相原大和の胸に耳を当てるように寄り添ってみた
