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誰も見ないで

第13章 好きになんて(サイドストーリー2)


「悪い。後で腹痛くなるかもな。ちゃんと掻き出さねぇと」


掻き出すとかそういう問題じゃなくて
そもそも中に出すな


と言いたい事は山ほどあったけど、初めての体験に尋常じゃないほどの疲労感を感じていた俺は何も言えずに黙った


「つーか、ここやべぇな。行くぞ」


行くぞって、どこへ


そんな疑問を口にすることさえ出来ず、ぼんやりと相原大和の行動を目で追う

脱がせた制服を俺に着せて、下に敷いていた上着は「汚れたな」とボヤきながらカバンに突っ込む

代わりに出てきたパーカーは、何故か俺の肩からかけられて


「!?」


ひょい、と軽々背中に抱き上げられた


「ちょっ……自分で歩けますから!!」


手足を動かして暴れると、相原大和はそのまま上にぴょんと跳ねた

着地した衝撃と共にズキンと痛む腰


「……っ」
「そんな状態じゃ無理だろうが」
「…………誰のせいですか」
「俺のせい。だからちゃんと世話してやるっての」


楽しそうに笑う相原大和を言い負かす言葉が思いつかなくて黙ると、器用に片手だけで俺を支えながら荷物を拾い上げて歩き出す

その頃には俺はもう諦めて、広い背中に頭を預けた

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