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誰も見ないで

第13章 好きになんて(サイドストーリー2)


そしてそのまま手が動いて、俺の腰を手の平全体で撫でるように優しく触れる


「…………そう。よかったな」


ふ、と笑いながらそんなことを言われると、なんだか居た堪れない気持ちになって今度は俺がもぞもぞ動いた


「……なに?」
「離して下さい」
「なんで」


相原大和の腕の中に巻き込まれるように一緒に抱き締められていた腕に力を入れて離れようとする俺

でもそれを許さないと言わんばかりに相原大和は強く抱き締めてくる


「理由とかいいから、早く離して下さい」
「嫌だ」


嫌だって……子供か!


離せ、嫌だ、の攻防を続けて数分

先に折れたのは俺の方だった


「……」
「もういいのか?」
「……」


拗ねたように答えないでいると、相原大和は満足そうに鼻を鳴らした

けど


「腹減った。飯食おう」


と突然言い出すとあっさり腕を解かれる


なんなんだ
それなら最初から……!!


不条理な展開に苛立ちつつ、心のどこかで残念に思っているのを見て見ぬ振りをした

さっさと立ち上がった相原大和は部屋から出てどこかへ行ってしまう

そこで初めて俺は部屋の中を見渡した


相原大和の、部屋
だよね

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