
誰も見ないで
第13章 好きになんて(サイドストーリー2)
らしいというかなんというか、シンプルで飾り気のない部屋
俺の部屋と違って教科書類はないが、漫画等の娯楽品もない
唯一あるのは部屋の隅に置かれたギターぐらい
散らかってもない部屋を意外に思いつつぼんやり見回していると、部屋に相原大和が戻ってきた
手には菓子パンが3つほど握られている
「悪いな。俺は瑞稀みてぇに料理とか出来ねぇから」
大丈夫です、というのもご馳走になる側としては図々しく思えて、何も返事ができないまま相原大和の動きを追う
ていうか俺も起きなきゃ
ベッドに寄りかかるように床に座った相原大和の隣に移動しようと身体を起こす
が、完全に起きる前に相原大和にベッドへ戻されてしまった
「? なに……」
「いいから横になってろ。あんだけ酷使したところを使って座ろうとか馬鹿か」
馬鹿、って
最後の単語だけが耳に残ってむっとする
けどじわっと途中の言葉を理解して、あぁ確かにと納得した
それならせめて寄りかかるものを求めて枕を手元に引き寄せて、その上にうつ伏せに寄りかかる
すると
「ほらよ」
差し出されたのは手で千切られたパン
「……」
「食えよ」
