誰も見ないで
第1章 告白
整いすぎてるってなんだよ
そんな理由で話しかけにくい人がこの世にいるわけないだろ
だから俺の顔なんてみんな見たくもないんだよ
正樹が隣でまたため息を吐いた
「無自覚は罪……」
「え、なんて言ったの?」
「なんでもない。とにかく、その子と付き合うのはやめろ。無駄に傷つけるだけだろ」
「…………でも……」
「でもじゃない」
「……」
いつもは優しい正樹が怒ってる
でも本当に、俺は友達が欲しかったから
それにどうせ、俺みたいなつまらない奴との付き合いなんてすぐ飽きられるに決まってる
だから、少しの間だけでも話せる人が欲しい
長い間友達がいない俺の気持ちなんて、たくさんの人に囲まれて慕われてる正樹にはわかんないんだ
今回だけは正樹の言うことなんて聞かない
固い意志を表すように黙ったまま目を逸らしていると、正樹が困ったように眉を顰めた
「子供じゃないんだから……もう………………わかったよ。もう止めない。その代わり絶対その子に迷惑かけるなよ。好きだって気持ちは湊斗が踏みにじっていいようなものじゃないんだからな」
「! うん!」
俺だって好きって言って貰えたことは嬉しいと思ってるんだから、そんなこと絶対しない!
明日から憧れのクラスに友達がいる生活
楽しみだな